学校であった怖い話
>三話目(岩下明美)
>F10

うふふ……そう。
わからないかしら?
その絵はね、彼女が殺された場所においてあったの。
その絵を見つけた人は驚いたわ。
その絵はね、あまりにも変わり果てていたの。

美しかった肖像画は、苦痛に歪み青ざめていたわ。
口からは血を滴らせ、目はこぼれ落ちそうなほど飛び出していた。
その顔は、清水さんが殺されたときの顔だったの。

いつの間にか、肖像画に描かれていた顔が変わっていたのよ。
完成したはずの絵は美しかったのに、見るも無残な絵だったわ。
犯人が捕まらないことを恨み、何かを訴えているようだった。

そしてその絵は、また学校に引き取られたわ。
引き取られ、美術室に飾られると、元の肖像画に戻ったの。
不思議なものよね。
それからは、もう何も起きなかったわ。

その絵は、自ら部室の山積みにされた作品たちに紛れ込んでしまった。
まるで、人目から避けるようにしてね。
それきり、誰も引き出そうとはしなかったわ。

でもね、時々、あの絵は殺されたときの顔になるらしいの。
あくまで噂だし、私も、まだ一度も見たことがないけれど……。
特に、誰かが清水さんの話をすると悲しんであの顔に変わるそうよ。

今は、どうかしら?
もしよかったら、今から美術室に見に行ってみませんこと?
もしかしたら、顔が変わっているかもしれないわ。
1.見に行く
2.見に行かない
3.自分だけ残る