学校であった怖い話
>三話目(岩下明美)
>F11

そう。
そう言ってもらえて嬉しいわ。
あなただったら、きっとそう言ってくれると信じてた。
さあ、行きましょ。
もしかしたら、清水さんが苦しみながら死んだ顔を見れるかもしれないから。

怖い?
別に怖いことなんかないわよね。
だって、あなたは清水さんが殺されたことに何も関係ないんだから。
ほら、だんだんと美術室が近づいてくる。
こうしてみると、何だかあの美術室から何か不浄な気が流れ出ているような気がしない?

私には、はっきりと見えるわ。
どす黒い靄のようなものが、きっちり閉められた扉の隙間から、もがくようにして這いずり出てきてる。
さあ、いい?扉を開けるわよ。
扉を開ければ、あの絵が見えるわ。

さあ、いい?
開けるわよ。
……そう。
ちょっと待って。

開ける前に、一つだけ教えてあげるわ。
清水さんが殺された場所に落ちていた、変わり果てた彼女の絵だけど……。
それを見た人って、なぜかみんな死んでしまったの。

その絵を発見した人も、学校でも偶然にその絵を見てしまった生徒もね。
もちろん、偶然が重なっただけかもしれないわね。
だって、まだ四人しか死んでないんですもの。
……でもね、その死に方が異常なの。

みんな、自分で自分の首を絞めて死んでいるのよ。
さぞや、苦しいでしょうに。
自分で自分の首を絞めるなんてねえ……。
自殺をするにしても、そんなの聞いたことがないわ。
そして、そうして死んだ人たちの顔は、みんなあの絵のように苦しみ、青ざめていたそうよ。

まるで、清水さんに呪い殺されたように……。
まるで、一人で寂しい清水さんが、友達を欲しがっているように……。
私はね、単なる偶然だとは思えないの。
四人もお友だちができたけれど、きっと清水さんはまだ寂しがってるんでしょうねえ……。

ごめんなさいね。
せっかくの楽しい一時を邪魔してしまって。
さあ、いいかしら?
心の準備はできて?
この扉の向こうの肖像画、どんな顔になっているかしら?
楽しみね……。

坂上君?
どんな顔がお好みかしら?
1.絵は元のまま変わっていない
2.殺されたときの顔になっている
3.美術室から、絵はなくなっている
4.想像したくない