学校であった怖い話
>五話目(新堂誠)
>A5

すごいな、お前。
自分から得意なんていうんだからよほど強いのか……それともただのうぬぼれ屋かだな。
……おいおい、そんなに目を輝かせるなよ。

坂上。
お前、今の大倉の話を聞いて、カモにしようなんて思ったんじゃないだろうな。
大倉をカモにできたのは昔の話さ……。
今じゃお前がカモになっちまうぜ。

あいつには、勝てないよ。
どんなことをしてもな。
あいつも、賭事に弱いうちはかわいかった。
けれど、ある日突然、強くなっちまったのさ。

まるで、人が変わったようにな。
それからの大倉は、もう金の亡者だ。
それまで以上に借金の取り立ては厳しくなったし、扱う額も大きくなっていった。

そして、毎日のように人を集めては、教室の片隅でポーカーに興じたのさ。
もっとも、奴の周りに集まる連中なんて、いつも同じ顔ぶれだったけどな。
俺は、一度だけ奴らがポーカーしているのを覗いたことがある。
正式なルールだと、ポーカーにはジョーカーは使わないらしいな。

もっとも、ポーカーにもいろんなルールがあるから、俺も詳しくは知らないけどな。
あいつらがやっていたポーカーにはジョーカーが入っていた。
俺は、何気なく見ていたんだが、ふと注意して見ると、変わったトランプなんだ。
トランプの裏には、よく模様とか絵が描いてあるだろ?

あれが、気味悪いんだよ。
女の顔が半分がい骨になっている絵なんだ。
縦にちょうど真っ二つに割って、その左半分が、むき出しのドクロなんだよ。
そして右半分が、冷たい感じの青い顔をした女なんだ。

趣味の悪い絵だったな。
いったい、どこであんなトランプを売ってるんだろうな。
俺、興味があって聞いたのさ。
「おい、大倉。お前、そのトランプどこで買ったんだよ」

そしたらあいつ、なんて答えたと思う?
1.こっとう品屋
2.親父の海外土産
3.縁日の出店
4.拾った