学校であった怖い話
>五話目(新堂誠)
>J6

「これか……? 縁日だよ。出店で買ったんだ」
うるさそうに、大倉はいった。
何とも無愛想な返事だったぜ。
ゲームに集中しているのか、俺のことなど眼中にないみたいだった。

俺は、しばらくゲームを見てた。
そして、不思議なことに気づいたんだよ。
そのトランプのジョーカーって、ドクロなんだ。

それも、目の部分の開いた穴に黒い蛇が絡まってるのさ。
気味の悪いジョーカーだった。
でもな、もっと不思議なのは、そのジョーカーが、必ず大倉の手元にくるんだよ。

ポーカーってゲームは、ジョーカーは何にでも使えるオールマイティ・カードだからな。
そいつが一枚あれば、相当有利にゲームは進められる。
だから、大倉のボロ勝ちさ。

でも、不思議じゃないか。
どんな確率からいっても、必ず大倉の手元にジョーカーが来るなんてありえない。
イカサマでもしていない限りな。

それで、大倉が必ずゲームに勝つもんだから、誰だっておもしろくない。
大倉を負かしてやろうと、何人かが挑戦したが、だめだった。
有り金全部巻き上げられて、一巻の終わりさ。
それで、奴がイカサマをしてるんじゃないかって噂になった。

当然、奴とつるんでいた連中はイカサマのケンカのことも知っていたし、疑って当然だよな。
でも、イカサマは現行犯でなきゃだめだ。

ポーカーをすれば、奴の手元に必ずジョーカーが来るのはわかっているのに、誰もその秘密を見抜けない。
それに、あのトランプを手にして以来、大倉はほかのカードを使おうとしなかったし、ジョーカーを抜こうともしなかった。

自然と、誰も大倉とポーカーをしなくなった。
それで、大倉はどうしたと思う?
1.ポーカーの相手を必死に探した
2.高利貸しに励んだ
3.学校に来なくなった
4.隣町の縁日へでかけた