学校であった怖い話
>五話目(新堂誠)
>D7

本業の高利貸しに励むようになったのさ。
どうしてか、わかるか?
利子を払えない奴を、無理やりポーカーの相手に誘うためさ。
それはもう、すごい条件だったぜ。
もし、ポーカーで大倉に勝ったら、そいつの借金をすべて帳消しにするっていうんだ。

でもな、おいしい話には必ず罠がある。
負けたらどうなると思う?

死んだ時に、魂をよこせっていうんだよ。
みんな、笑ったぜ。
負けても、死んだときに魂を渡しますって一筆入れればいいんだ。
そしてさらに、それを書けば、借金を返すのはいつでもいいっていうお得なオマケつきだ。

ようするに、借金をする連中にとっては、半永久的に金を返さなくていいってことだからな。
この話に乗る連中は多かった。
もっとも、まじめな連中は見向きもしなかったけどな。

当然、俺も見向きもしなかったぜ。
だって、そうだろ?
たとえ冗談でも、魂を渡しますなんて、書けるかよ。
悪魔の契約書じゃあるまいしな。

みんな、借りるだけ借りると、すぐにポーカー勝負に挑んだよ。
だって、負けても痛くないんだもんな。
お金をもらって、ポーカーの遊び相手をしてやればいいだけのことさ。

みんな、気軽なもんだったぜ。
大倉は、負けなかった。
まあ、相手に真剣さが足りないんだから、最初から勝負にはならなかったけどな。
みんな、おもしろがって、悪魔との契約書を作ったぜ。
何枚も集まった契約書を前に、大倉は嬉しそうだった。

それから何日かたってのことだった。
俺はヤボ用で遅くまで学校に残っていたんだ。
ま、理由は聞かないでくれ。
俺にもいろいろあるからな。
その時、教室の片隅で、隠れるようにして縮こまっている人影を見ちまったんだ。

最初、誰かと思い近づいてみたんだが、そいつは大倉だった。
「大倉」
俺の声に、大倉は驚いたようだった。
でも、驚いたのはこっちだぜ。
あいつは、ナイフを持っていたんだからな。

振り向いたあいつは、一生懸命に何かを隠していた。
でも、間に合わなかった。
俺は、それを見ちまったんだよ。
何を見たと思う?
1.トランプ
2.契約書
3.わからない