学校であった怖い話
>五話目(荒井昭二)
>U7

そうかい、やっぱり坂上君も時田君のやり方にはついていけないんですね。
それで、彼が一番信頼を寄せていた中山太一君もやめるといい出したんです。
彼は、8ミリカメラで映画を撮影していた人です。
彼も時田君と同じ学年でした。

時田君はびっくりしました。
中山君だけは自分についてきてくれると思っていたのに。
そして、いつも時田君の考え方に賛同してくれていました。
「君だけは、やめないでいてくれると思ったのに、どうしてだ!!」
時田君は怒鳴りました。

「君は、映画にのめり込みすぎているよ。周りの者がどんなに振り回されているか、考えたことはあるのかい」
中山君は彼にいいました。
熱くなっている時田君に、何をいってもムダなのはわかりますよね。
時田君は中山君を説得して、やっとのことで同好会に残ってもらったんです。

時田君は、残った者と一緒に撮り直しを始めました。
今度は慎重に、前の失敗を繰り返さないように気をつけました。
時田君も、監督のほかに8ミリカメラで撮影をすることがありましたが、今回はミイラの包帯を取ったときのメイクにこだわっているようでした。

そういう、シーンがあったんです。
彼はああでもない、こうでもないと試行錯誤を重ねたようです。
結局、そのシーンだけ撮らずじまいで、ほかのシーンを先行して撮ることになりました。

そんなある日、中山君が風邪で寝込んでしまったんです。
時田君も、カメラの腕には自信があったので撮影は続けられました。
あれから四日後、中山君の風邪も全快して、時田君の撮影も無事終了したようでした。
今日から編集作業を始めるとのことでした。

しかし、中山君が撮影も終わったことだし、もう気が済んだろうということで、同好会をやめると言い出したんですよ。
彼は、最初からそのつもりで同好会に残っていたらしいですね。
時田君は、どうしたと思いますか。
1.彼を引き止める
2.やめてもいいという