学校であった怖い話
>五話目(岩下明美)
>A3

……そう。
そんなにきれいな人なら、今度会わせてくれないかしら。
他ならぬ坂上君の恋人だもの、ぜひ見てみたいわ。
ね、いいでしょう?
約束よ。

……それにしても、うらやましいわ。
恋人を堂々と「きれい」というなんて、本当に愛してなきゃできないことよ。
坂上君、彼女を大切にしているのね。

でも、気をつけた方がよくってよ。
あんまり仲がいいと、それをやっかむ者も出てくるものだから。

これから私が話すのも、そんな恋人たちの話なの。
でも、この話をするには、一つ重要なルールがあるの。
話す人間は、恋人といっしょじゃなきゃいけないのよ。
そうしないと、この話の恋人たちに呪われてしまうの。

でも、私には恋人がいない。
だから坂上君、今だけ私の恋人役をしてくれないかしら。
してくれるわよねえ?
ええ、坂上君なら、きっとしてくれる。
私にはわかってる。

そうしなきゃ、この話もできないんだし。
ね、いいでしょ?
…………ほうら、うなずいた。
やっぱり坂上君はやさしいわね。
本当に恋人にするなら、あなたみたいな人がいいかもね。

あら、わかってるわよ。
これはお芝居……でも、今だけは恋人同士なのよ。
いいわね、坂上君。

私のクラスに、矢口節子という子がいてね。
彼女には、伊達守という恋人がいたわ。

二人は、とても仲がよかった。
でも、お互いの家が厳しくて、なかなか会えなかったの。
そういうとき、坂上君だったらどうするかしら?
1.電話をする
2.文通をする
3.こっそりと会う