学校であった怖い話
>五話目(岩下明美)
>P4

ひどい……。
女から告白させておいて、それはないんじゃないかしら。
それなら私、怖い話なんてしない。

岩下さんは横を向いてしまった。
僕はあわてた。
せっかく五話目まで来たのに、こんなことで終わりになるなんて。

「そんなこといわずに、お願いしますよ」
頭を下げる僕に、岩下さんは振り向いた。
「……私の恋人になって」
そんな!
それは脅迫じゃないか!

でも、他の人の冷たい視線が突き刺さる。
みんな七不思議が完成しなかったら、僕のせいだといわんばかりだ。

その無言の圧力に、僕は負けた。
「…………はい」
「嬉しいわ! じゃあ話すわね」
岩下さんはにっこりと笑って、話を続けた。

今の言葉、忘れないでね。
絶対に忘れちゃだめよ。
私がこれから話すのは、愛しあった恋人たちの話だから。

私のクラスに、矢口節子という子がいてね。
彼女には、伊達守という恋人がいたわ。

二人は、とても仲がよかった。
でも、お互いの家が厳しくて、なかなか会えなかったの。
そういうとき、坂上君だったらどうするかしら?
1.電話をする
2.文通をする
3.こっそりと会う