学校であった怖い話
>五話目(岩下明美)
>AB5

坂上君って、案外かわいいのね。
文通だなんて、大昔の女子高生みたい。
あら、いけないっていってるんじゃないわ。
そうよね、いいにくいことでも、文章にすれば伝えやすいってこと、あるわよね。
二人も、そうしたの。

一日一通ずつ、いつも同じポストに入れて。
坂上君、こういうときの女の子の気持ちってわかるかしら。
早くあの人の元に、届きますように。
いい返事が来ますように。

お祈りするような気持ちで、大切に大切に手紙を入れるのよ。
矢口さんも、そういう思いを込めて手紙を出していたの。
おまじないのつもりで、ぽんぽんとポストを叩いたりしてね。

でも、そんなこと、しないほうがよかったんだわ。
だって…………。

坂上君、つくもがみって知ってる?
作られてから、長い年月が経過した道具には魂がこもるっていうんだけど。
うふふ、何がいいたいかわかった?
そう、矢口さんの利用していたポストはね、つくもがみだったのよ。

……何笑ってるの?
私のいうこと、信じてないの?
それとも生きているポストなんて、おかしいかしら。
でも、本当なんだもの。

それでね、そのポストは、矢口さんに恋をしてしまったらしいの。
でも、矢口さんには伊達君という恋人がいるでしょう。
考えたあげく、矢口さんの手紙を隠してしまうことにしたのね。

当然、伊達君のところには手紙が届かない。
伊達君は、矢口さんを問いつめたわ。

「なんで、この頃手紙をくれないんだよ」
矢口さんは驚いたわ。
だって、彼女は毎日出し続けているんですものね。

「出しているわ。届いていないの?」
それで、伊達君も驚いた。
矢口さんがそんな嘘をつく人じゃないのは、彼自身が一番よく知っていたから。

それなら、ポストの裏かどこかに張りついているのかもしれない。
他の人に見られたりしたら大変よね。
二人は放課後、例のポストまで行ってみることにしたの。

それは、なんの変哲もないポストに見えた。
二人はどうしたと思う?
1.矢口さんがポストに手を入れた
2.伊達君がポストに手を入れた