学校であった怖い話
>五話目(福沢玲子)
>L9

「続けましょう」
僕は、きっぱりといった。
彼は、黙っていた。
そしてゆっくりと長い息を吐いた。

「……そう。君は、凄い人だね。僕は初めて君を見たときから、君はただ者じゃないと思っていたよ。何か普通の人が持っていてはいけない何かを持っているようだね」
僕には、彼の言葉の意味がわからない。
彼は、相変わらず笑みを絶やさなかった。

「……それじゃあ、新聞部に戻りましょうか」
ここにいても仕方ない。
福沢玲子は消えてしまったのだ。
彼女は、もうここにはいない。
死んだのか、それとも生きているのか、それを確かめる術さえない。

「新聞部に戻るのはやめようよ」
突然、最後に残った一人が言い出した。
「これから、旧校舎に行ってみないかい?」
そして、そんなことを付け加えた。
なぜ、旧校舎に行かねばならないのだ?

「旧校舎ですか?」
僕は、首を傾げた。
「そう、旧校舎。あと、話をするのは僕だけだろ? だったら、旧校舎に行かなきゃ。僕が話す話は旧校舎にまつわる話なんだよ。

……僕はね、この話をするべきかどうか迷っていたんだけど、今こそ話すべきだと思うんだ。だから、どうしても旧校舎に行かなきゃならないんだよ」
彼は、意味ありげに笑った。

旧校舎に行かなければならない話?
いったい、なんだろう。
外は、もう暗い。

いったい、今は何時なんだ。
辺りに時計が見当たらない。
僕も、そして彼も腕時計を持っていない。
……どうする?
1.旧校舎に行く
2.新聞部に戻る