学校であった怖い話
>六話目(新堂誠)
>A4

よし。
それじゃあ、呪いの本を持って歌をうたえ。
……ん?
何だよその顔は?
俺は、ふざけてないぜ。

この本にはな、昔の歌姫の呪いがかかっているんだよ。
この本を抱きかかえて、頭に浮かぶ歌をうたうんだ。
すると、それを聞いたすべての奴が眠りに落ちるって話だ。
歌っている奴は別だぜ。

この本にまつわる話はこうだ。
昔、ある男が一人の歌姫を愛したんだが……。
歌姫は、ちっともなびかなかった。
そこで男は、色々問題を起こしたあげくに、歌姫を殺しちまったんだよ。

歌姫は、自分の身を守るすべをもたなかったことをかなり悔やんでな。
その念が、この本に取り付いてしまったということだ。

歌が人の感情に働きかける力ってすごいと思わないか?
歌をきいて明るい気分になったり悲しいことを思い出したり……。
そういうこと、あるだろう?

この本は、歌姫が殺された部屋にあったものらしい。
どこかの国のみやげもので、歌姫のファンからの贈り物だったそうだ。

当時は、願いを叶えるお守りのような本だったということだが……。
今では、すっかり呪いの本さ。
人を、バタバタと眠らせてしまう。

なあ、坂上。
本当に、すべての人を眠らせることなんてできると思うか?
さあ、試してくれ。
それが本当だったら、本は俺がもらう。
人を眠らせる本……。
色々な使い道がありそうじゃないか?

「新堂さん……」
僕は、本をちらりと見た。
歌姫が殺されて、本に呪いがかかった。
その割には、呪い自体はあまり怖くないな。
人を眠らせるだけなんて。

自分の身を守る為に、相手を眠らせる……。
かよわい女性の発想なんて、その程度のものなんだろうか?
人を眠らせる本なら、嫌な先生の授業で使ったり、テスト中に使ったりしていろんなことができそうだな。

………。
でも、これは……。
いくらでも悪用できてしまう。
周りの人を、みんな眠らせることができるなら……。
銀行強盗だってできるんじゃないか?

「坂上、早く試せよ。
ほら……あっちの机に、人が何人かいるだろう?」
僕は、複雑な気持ちで本を手に取った。

すると……。
「あっ、ちょっと俺は図書室から出ていくからよ。
一緒にいて、眠らされたらかなわないからな。
結果がわかったら、図書室の外に来てくれ……」

新堂さんは、外に出ていってしまった。
さて……どうしようか?
1.呪いの本の効果を試す
2.外に出て銀行強盗をする
3.本を燃やして捨てる