学校であった怖い話
>六話目(細田友晴)
>F17

助けようと思いはしたものの、方法がわからない。
手を伸ばしても、天井には届かない。
「う……うあ……」
僕がどうしていいかわからずおろおろしていると、細田さんの顔が次第に恐怖に歪み始めた。
何だろう?

僕は、彼の視線を追ってみた。
彼は、僕の背後を見ていた。
その途端、僕は、背中に冷水を浴びせかけられたような恐怖を覚えた。
後ろに誰かいる。
僕は、ゆっくりと振り向いた。

奥から二番目のトイレのドアは開かれ、そこに仮面の少女が立っていた。
突然、頭の中に直接、彼女の声が響いてきた。
「……お前は、あいつを助けたいか?」
彼女は、ゆっくりと天井に貼りついている細田さんを指さした。

僕は、頷いた。
すると、また彼女の声が響いてきた。
「……ならば、お前の両親の命と引き換えだ。
もしお前に両親がいなければ、いずれ生まれるであろうお前の子供の命をもらう。それでいいか?」

……仮面の少女は、僕に究極の選択を迫ってきた。
細田さんを助けるか、さもなくば僕の……。
冗談じゃない!
「助けてくれ! 僕たちは友達じゃないか!
お願いだよ! 助けてくれれば僕は何でもするよ!」

細田さんは、顔をぐしゃぐしゃにして泣いていた。
僕の頭の中に響いてきた声は、細田さんにも聞こえたんだろうか?
その声は、僕に選択を迫った。
「どうする? あいつを助けるか?
それとも……」

どうすればいい。
どうすればいいんだ!
1.細田さんを助ける
2.細田さんを見殺しにする