学校であった怖い話
>六話目(細田友晴)
>AM7

僕は右に行ってみることにした。
体重を載せると、床が沈むのがわかる。
へたをすれば、本当に床板が折れて落ちるかもしれない。
気をつけながら、一歩一歩足を運ぶ。

でも、暗い廊下の端まで行って、僕はがっかりしてしまった。
行き止まりだった。
トイレなんてありはしない。
反対側だったんだろうか?
そう思って振り向いた。

……目の前に、細田さんがいた。
「こっちにトイレはないよ。もう戻ろうよ」
息が止まるほど驚いた僕に気づかなかったのか穏やかな口調でいう。

僕は黙ってうなずいた。
今のショックで、トイレに行きたい気なんて失せていたのだ。
僕と細田さんは、元の教室に戻った。
そして、再び話の続きが始まった。

それで、補習で残された六人だけれど、いつまでたっても担当の先生が見に来ないから、だんだんと不安になってきてね。
でも大事な期末テストの補習だったから、これを落とすわけにはいかない。
それぞれ六人ともそれなりの事情があってね。

これを落とすとクラブ活動ができなくなるとか、親が呼び出されるとかね。
だから、帰るに帰れなかった。
ふと、時計を見るともう九時を回っていたんだよ。
でも、それがそもそも不思議なことだと思うんだ。

どうして九時まで気がつかなかったのか。
いくら集中して補習に取り組んでいたとしても、もともと補習を受けるような連中だよ。
そんなに集中力が続くんだろうか?

九時を過ぎるまで気がつかないなんて、異常だとは思わないかい?
1.異常だと思う
2.別に思わない