学校であった怖い話
>七話目(新堂誠)
>7AA7

助かったことがわかると、急に怖さが増してきた。
ここは、真夜中の旧校舎なのだ。
こんなところで、朝まで待つことなど、とても恐ろしくてできない。
僕は、投げ出された懐中電灯を拾いあげ、立ち上がった。
そして、なにげなしに折れた窓枠に目を留めた。

腐ってぼろぼろになった木。
でも、少しはしっかりしてそうだ。
僕に、一つの考えが浮かんだ。
……使えるかもしれない。
僕は、折れた窓枠を手に取った。
それこそ、まさに神の警告だったのかもしれない。

……目まいがする。
どっと疲れが押し寄せた。
それにしても、よくあれだけ動いたものだ。
僕は、自分の体力に敬服した。
よろめきながらも、棒になった足をゆっくりと交互に前へ出す。

階段を下りる作業が、とてもつらい。
一段下りるごとに、足を踏み外しそうになる。
足に、まったく力が入らない。

何とか一階まで下りたころには、そろそろ空が白み始める時間になっていた。
「……帰ろう。……家に帰ろう」
僕は、自分を元気づけるため、何度もそう呟いた。

目の前に、校門が見える。
……そして。
校門の前に奴らは立っていた。
そう、日野と風間だ。

「なかなか、やるじゃないか」
日野が僕に笑いかけた。
「おまえが楽しませてくれるから、もう一つゲームを考えついたぜ」
ゲームだって?
日野の言葉を聞くだけで、僕は胸がむかついた。

この上、僕に何をやらそうっていうんだ。
その時、風間が前に出た。
顔色が悪い。
「風間はな、さっき、あの毒のカプセルを飲んだ。おまえを殺さなきゃ、解毒剤はやらないといってあるのさ」

「なんだって!?」
僕は、耳を疑った。
こいつらは、仲間じゃないのか?
それなのに、ゲームの小道具にしてしまうなんて。
日野は笑った。

「行けよ、風間。早くしないと、毒が回ってしまうぜ」
それにつられたように、風間がさらに前に出た。

瞳には、殺意がみなぎっている。
本気だ!
僕が気づくと同時に、風間が襲いかかってきた。

とっさによけて、腕をつかむ。
どうする?
1.説得してみる
2.腕を折ってやる