学校であった怖い話
>七話目(細田友晴)
>S5

「いいえ、もう結構です」
僕は、首を横に振った。
「坂上君?」
今日はもう、たくさんの話を聞いた。
これ以上聞きたくなかったんだ。
今までの話だって、七話目にしようと思えばできるんだし。

それに、なんだか胸騒ぎがしていた……。
このままここにいたら、何か悪いことが起こるような気がする。
黒木先生は、ちょっと拍子抜けしたようだった。
「そうか。まあ、それならいいけどな。
おもしろいのは、実はここからだぞ?」

何といわれても、もうたくさんだった。
黒木先生は、肩をすくめた。
「じゃあ、もう帰れ。気をつけるんだぞ」
「はい……ありがとうございました」

僕は頭を下げた。
細田さんは不満そうにむくれていたけれど、何もいわなかった。
これでよかったんだ……。
僕はカバンを抱え、学校を後にした。

それにしても、もうだいぶ遅いな。
帰り道に、ふと店先の時計を見ると、もうすぐ九時になろうとしていた。
僕は家に帰ると、今日の出来事を思い起こしていた。
……それにしても、ずいぶんと怖い話があるもんだ。

途中で岩下さんたちがいなくなってしまったけれど、あれは何だったんだろう。
……話す人が途中まで一人ずついなくなっていったけれど、あのことはまだ解決していない。
あれは、誰かのいたずらだったんだろうか……?

いや、そんなはずはない。
とてもいたずらとは思えない。
やっぱり、あの学校には何か得体の知れないものが住んでいるんだ。
僕は、夏だというのに、妙な寒気を覚えた。

その時。
突然、電話のベルが鳴った。
今頃、誰だろう?
時計を見ると、もう十一時を回っていた。
どうする?
電話に出るか?
1.電話に出る
2.出ないで放っておく