学校であった怖い話
>七話目(細田友晴)
>AY6

当たりだ。
妹を失った少年の、悲しげな泣き声が聞こえるというんだよ。
高校生にこんな話を聞かせたら、どうなるか見当がつくだろう?
先生たちは、肝試しと称して、ここに声を聞きに来たんだよ。
で、どうだったかって?
聞こえるわけないだろう、そんなもの。

戦争中は、いろんなことが起こったんだ。
死んだ人もたくさんいた。
その人たちが、いちいち化けて出てきたら、日本は幽霊でいっぱいになってしまう。
まあ、先生か先輩から噂を聞いたヤツが、適当にでっちあげた話だろうな。
……白けた顔をしているな。

でも、考えてもみろよ。
幽霊なんて、いやしないんだぞ。
先生もそうだったから、肝試しとかしたいのは、わかる。
でも、やめておけ。
それよりもっと、今しかできない有意義なことってあるだろう。
本を読むとか、部活動とか。
先生のいうこと、わかるだろう?

「……はい」
うなづくしかなかった。
黒木先生は、満足そうに笑った。
「ならば、よし。じゃあ帰るんだな」
……僕たちは、家に帰った。
それにしても、ひどいや。
確かに悪趣味かもしれないけど、僕は真剣にこの企画に取り組んでいたのに。

それにしても、もうだいぶ遅いな。
帰り道に、ふと店先の時計を見ると、もうすぐ九時になろうとしていた。
僕は家に帰ると、今日の出来事を思い起こしていた。
……それにしても、ずいぶんと怖い話があるもんだ。

まあ、風間さんが一人だけ訳のわからない話をしていたけれど、あれはあれで我慢しよう。
明日、日野先輩にどうして風間さんなんて呼んだのか聞いてみればいいことさ。
結構ドキドキしたけれど、おもしろい体験だった。

その時。
突然、電話のベルが鳴った。
今頃、誰だろう?
時計を見ると、もう十一時を回っていた。
どうする?
電話に出るか?
1.電話に出る
2.出ないで放っておく