学校であった怖い話
>七話目(細田友晴)
>BD6

へえ、よくわかったじゃないか。
そうなんだ。
兵隊の幽霊が、壁の前に立つなんて噂があってさ。
でも、恨んで出るなら、ひどい目にあった少年の方じゃないか?
先生は不思議に思って、調べてみたのさ。

そうしたら、見たんだよ。
悲しそうにたたずむ、兵隊の幽霊をな。
何かブツブツつぶやいていたっけ。
あの頃は無鉄砲だったから、内容を聞き取ろうと近づいてみたよ。

「壁が……壁が……」
そう、繰り返していた。
そして、しばらくしてフッと消えてしまったんだ。
それっきり、もうその幽霊を見ることはなくなったな。
先生も卒業してしまったし。

教師として、この学校に来て聞いたけど、もう兵隊の幽霊の噂はなくなっていた。
幽霊も、引っ越しをしたりするのかもしれないなあ。

……さ、先生の話はこれで終わりだ。
もう、十分だろ。
みんな、帰ろう。
先生が、校門まで送っていってやるから。

……僕たちは、黒木先生に見送られて、学校をあとにした。
……それにしても、何とかなった。
怪我の功名というやつか。
七人目は来なかったけれど、代わりに黒木先生の怖い話を聞けたから、先生が七人目ってことになるな。

それにしても、もうだいぶ遅いな。
帰り道に、ふと店先の時計を見ると、もうすぐ九時になろうとしていた。
僕は家に帰ると、今日の出来事を思い起こしていた。
……それにしても、ずいぶんと怖い話があるもんだ。

途中で岩下さんが帰ってしまったけれど、無事だろうか。
まさか、彼女の弟が内山君だったなんて……。
もし明日学校であったら、僕はどんな顔をすればいいんだろうか。
一応、僕のほうから謝ったほうがいいんだろうか。

その時。
突然、電話のベルが鳴った。
今頃、誰だろう?
時計を見ると、もう十一時を回っていた。
どうする?
電話に出るか?
1.電話に出る
2.出ないで放っておく