学校であった怖い話
>七話目(細田友晴)
>BN2

「いえ、実はですね……えーとですね、僕たちは……うーんと」
僕は必死にいいわけを考えた。
でも、とっさには浮かばない。
黒木先生が、ジロリと僕をにらんだ。
「先生をごまかそうとしても無駄だぞ。
そんな卑怯なことをするな!」

大きな声で怒鳴られた。
僕は思わずちぢみあがった。
「す、すいません……」
「何をしていたか、話してくれるな?」
この先生には嘘はつけそうにない。
僕は正直に話すことにした。

「あの……。実は新聞部で学校の七不思議の特集をすることになって。それで、僕が皆さんの話を聞くことになったんです。旧校舎にいる花子さんを確かめたくて、立ち入り禁止と知って、入ってきてしまいました」
僕は、申しわけなさそうに頭を下げた。

確かに、怒られても仕方のないことだ。
黒木先生は、僕に一歩近づいてきた。
「なんだ。お前、新聞部か。学校の七不思議の特集をするのは、先生も知ってるぞ」
そういい、僕の肩に手を乗せた。
大きな、グローブのような手だ。

改めて見ると、とても体格がいい。
体育の先生なんだろうか。
「まあ、先生としては勉強だけっていう教育方針は嫌いだからな。
部活を一生懸命やるのもいいだろう。
でもな、限度ってものがある。

この旧校舎は、何で立ち入り禁止になっているのか知っているか?
危ないからだよ。もう古くなってところどころ朽ち果てている。
床だって腐っているから、下手をすると足を踏み外すぞ。もし事故でも起こしたら、大変だろう。二度とこんなことしちゃだめだからな」

そういい、先生は軽くゲンコツを作ると、とりあえず形だけ僕の頭を小突いた。
「お前たちもだ」
そういい、みんなの頭を一人ずつたたいた。

……よかった、話のわかる先生で。
正直に話して正解だった。
「……ということで、先生にめんじて今回のことは許してやろう。実をいうと、先生もな、怖い話は嫌いじゃないんだよ」

そういい、自分のあごに懐中電灯を当てて顔を照らすと、僕たちの前にニュッと顔を突き出した。
「……どうだ? もしよければ、これから先生につきあわないか?」
僕には、一瞬、先生のいっている言葉の意味がわからなかった。
「つきあうって……。ひょっとして、先生が一緒に花子さんを確かめに行ってくれるんですか?」

と、細田さん。
先生は嬉しそうに笑った。
「……いや。花子さんの話なんて、ありゃあ、根も葉もない噂だろ。それより、先生はな、この旧校舎にまつわるもっと恐ろしい話を知ってるぞ。どうだ? もしよければ、そこに行ってみないか?」

先生は、まるでいたずらっ子のような笑みを浮かべた。
なんてノリのいい先生なんだろう。
まさか、先生まで話に参加してくれるとは思わなかった。
七人目が来なかったために、正直いうと困っていたところだ。

どうする?
先生の誘いに乗ってみようか?
1.先生の話を聞いてみる
2.怖そうだから遠慮する