学校であった怖い話
>四話目(新堂誠)
>S4

「新堂さん!」
僕は立ち上がった。
「すいませんでした。本当は見てしまったんです。でも、怖くて……」
新堂さんは振り返った。

「いいさ、気持ちはわかるしな。それじゃあ話を続けていいか? 清水智子の、もう一つの話なんだ」
もちろん、異論があるはずがない。
僕たちが頷くと、新堂さんはまた、元の席に腰かけた。
それじゃ、話すぜ。

……実をいうとな、清水さんの家って、俺の家の側だったんだ。
だから、彼女のことは昔から知っていた。
俺には、優しい姉貴って感じだったな。

彼女は、本当に絵が好きでな。
休みの日でも、ほとんど外に出るようなことはなかったと思う。
ずっと、家に閉じこもって絵を描いていたのさ。
たまに出かけたと思うと、スケッチブックを持って公園に絵を描きに行くのさ。

まさに、人生そのものが絵だったんだよな。
それでな、俺はよく彼女の家にも遊びに行ったんだ。
別に変な意味じゃないぜ。
勘違いしないでくれよ。
俺がガキのころのことさ。

中学に入るころには、もう彼女の部屋に入ることなんかなかった。
彼女も、俺なんか誘わなくなったしな。
やっぱり、女の子の部屋っていうのか?
ピンク色のカーテンがかわいらしくて、きちんと整頓されていたよ。
今でも、はっきりとあの部屋のことは思い出せるぜ。

でも、俺が彼女の部屋に関する記憶の中で、どうしても気になって仕方のないことが一つだけあるんだ。
何だと思う?
1.部屋の装飾
2.部屋においてあった絵
3.部屋の匂い
4.大事にしていたアルバム