学校であった怖い話
>五話目(荒井昭二)
>C4
どっちかがケガでもしたら大変だ。
僕は止めることにした。
「やめてくださいってば、もう」
他の人の助けも借りて、なんとか二人を離すことができた。
風間さんが、肩で息をしながらジロリと荒井さんをにらんだ。
「殴られたいというから、リクエストに応えようとしたんだ。何がいけないんだい」
「喧嘩はやめてくださいよ。そんなことをするために集まったんじゃないでしょう!?」
僕は荒井さんを振り向いた。
「荒井さんも、ほら仲直りしましょうよ。話を続けてください」
荒井さんは青ざめたくちびるをかんで、黙っている。
風間さんが鼻で笑った。
「ふん。怖い話なんて知らないんじゃないのかい? 話せないから、僕に喧嘩を売ってごまかそうとしたんだろう。白状しろよ」
荒井さんは答えない。
まさか、本当にそうなのか?
僕がほとんど信じかけてしまったとき、荒井さんは口を開いた。
「それならばお話ししましょう。本当はそれどころではないのだけど」
恨めしそうな暗い表情だ。
それが少し気になったけれど、僕はそのまま進めてもらおうと思った。
喧嘩になるよりは、ずっといい。
「それじゃあお願いします。でも、もう喧嘩はなしですよ」
僕がいうと、風間さんが不満そうに口を出した。
「そうはいうけどね、君。僕は、穏便に済ませたいんだよ。問題は、荒井にあるんじゃないのか? 彼が、僕に突っ掛かってきてるんだよ」
風間さんは、面倒臭そうにため息をついた。
風間さんのいうことにも、一理ある。
「……坂上君? 僕は、みんなを助けようと思っているんですよ。
不届き者のために、僕たちが呪われないようにしなければならないんですよ」
荒井さんのいうことにも、一理ある。
場を茶化した風間さんにだって責任はあるのだ。
僕は、どうすればいいんだ。
1.風間さんの肩を持つ
2.荒井さんの肩を持つ