学校であった怖い話
>五話目(荒井昭二)
>H5

僕は腕を持つことにした。
もう一人、風間さんも腕。
残りの人は足。
それに交代要員だ。
腕を引っ張ると、なんだかグニャッとしているようだった。

今まで生きていたんだから、もちろんそれは気のせいに決まってる。
僕は、腹を決めて腕を持ち上げた。
人間一人の体は結構重いものだ。
持ちにくいっていうのもあると思うけれど、このままではすぐ、交代してもらわなければならないかもしれない。

女の子に見張ってもらって、僕たちは廊下を進み始めた。
こんなところを見られたら、いい訳できないな…………そんなことを考える。
そのせいか、息づかいが荒くなる。
誰もいない校舎に、僕たちの呼吸音だけが大きく響いているような気がした。

風間さんも、同じ思いだったのだろう。
「君たち、少し静かにしてくれよ」
それで、僕もできるだけ息をひそめた。
でも、まだゼイゼイいっている人がいる。
「おい、君たち……」
いいかけた風間さんの言葉が、途中で止まった。

同時に僕も気づいた。
ゼイゼイいっているのは僕たちじゃない。
この音は、荒井さんから聞こえるんだ!
僕たちは無言で顔を見合わせた。

荒井さんは死んでいなかったんだろうか?
僕たちは……。
1.息をしているか確かめた
2.心臓が動いているか確かめた