学校であった怖い話
>五話目(荒井昭二)
>K3

今、僕がとめたら、余計まずい雰囲気になるかもしれない。
それに、僕はまだ一年生だ。
僕が口出しするのも変かもしれない。
もう少し、このまま様子を見ていよう。

「……そうか。暴力的な訴えに出て欲しいというのか。じゃあ、お言葉に甘えさせてもらおうか。でも、僕も理性的な人間だからね。
その前に、僕がどのようにして君に迷惑をかけたのか具体的に聞かせてもらおうじゃないの」

風間さんの手が震えている。
握った拳に力が込められているのがわかる。
……まずいかもしれない。
ここは、後輩として荒井さんが謝ったほうがいいかもしれない。

「……そうですか。あなた、相当のバカですね。わざわざ僕が話さないとどのように迷惑がかかったか、わからないとおっしゃるんですね?」
荒井さんの態度はあくまで喧嘩腰だ。

「……ああ、そうだね。僕は馬鹿だから」
風間さんの声が震えている。
もう、切れる寸前だ。

「霊が怒っているからですよ。あなたのくだらない冗談で、霊が怒ってしまってるんですよ。わかりますか? このままだったら、僕だけでなく、ここにいる皆さんに迷惑がかかるんですよ。もちろん、あなたの場合は自業自得ですけれど」
荒井さんは、とても真剣だった。
僕は、その言葉に寒気さえ覚えた。

それほど、重い言葉だった。
みんな、目を見開いて、荒井さんの言葉に聞き入っている。
説得力があるというよりも、本当に何か悪いことが起こりそうな気を起こさせる言葉だった。
重い沈黙の中、ただ一人、風間さんが笑った。

「あっははははは……、馬鹿らしいね。霊が怒ってる? さっきから聞いてたら、君、なに? 僕にケンカ売ってるの? 君さあ、子供じゃないんだから。もう少し、大人になろうよ。霊なんてもん、本当に信じているわけ?」
風間さんは、完全に馬鹿にしている。

まずいかもしれない。
この部屋に何かいそうなのは僕も感じていたけれど、その存在が大きくなっているのが何となく感じられる。
本当に、霊が怒っているのかもしれない。

「馬鹿いってんじゃないよ、霊なんて。みんな、今までしていた話もどうせ作り話だろ? 誰も、そんなもん信じちゃいないくせに。あはははは……」
風間さんが言葉を発するたびに、部屋を包んでいる空気が、荒れていくのがわかる。

このままだと、僕たちまで無事にすまないかもしれない。
でも、僕が口を挟んで余計に場が気まずくならないだろうか。
どうする?
1.とめる
2.もう少し様子を見る