学校であった怖い話
>七話目(細田友晴)
>A1

仮面の女は、じっと僕を見ている。
仮面には口はなく、ただ目の辺りに、細い線が二本開いているだけだ。
「これから、私の質問に答えてよ」
そいつは、話しかけてきた。
今度は、今までのように頭に直接話しかけてくる声ではなく、はっきりとした肉声だった。

その声の、なんと薄気味悪かったことか。
テープを早回ししたときに聞こえるようなノイズ。
それに似ている。
甲高いのに、妙にこもっていて、それはエコーがかかっているようでもあり、いやに耳に残る声だった。
彼女は、今の問に対する答えを待っているのだろうか。

僕は、口にたまった唾を飲み込んだ。
なんて答えようか。
1.はい
2.いいえ