学校であった怖い話
>四話目(岩下明美)
>J7

「事情を説明したほうがいいかしら……」
「そうだね……」
二人は、彼らに向かって歩き出したの。
向こうも動揺している様子で、それは月明かりとはいえこちらにも伝わってくるわ。

そんな、向こうの動揺の波動を受ける度に、二人の前に出す足が重くなるのよ。
もう、この状況にはとても我慢できなくなったのは広岡さんのほうだった。

「逃げよう!」
広岡さんは、彼女の手を握りしめると、とっさに走り出したわ。
「待てっ! 待ってくれっ!」
後ろで、男の声がしたわ。
けれど、振り向かなかった。

背中に覆い被さってくるような、悲しい声だった。
けれど、二人は怖くて振り向けなかった。
そして、気がつくと近くの公園に来ていたの。
「……どうしよう」
折原さんは、今にも泣きそうだったわ。

きっと、あの人たちは自分たちのことを恨んでいるかもしれない。
月明かりだったけれど、もしかしたら顔も見られたかもしれない。
そんなことを考えると、彼女は怖くて涙が溢れて止まらなかったの。

そんな彼女に対し、広岡さんは、なんて答えたと思う?
1.明日、彼らを捜して謝ろう
2.僕たちのせいじゃないから、気にするな
3.このことは二人の秘密にして黙っていよう