学校であった怖い話
>七話目(風間・岩下)
>R6

「元木さん。悪いんですが、僕は自分で人生の伴侶をさがしたいと思っています。おばあちゃんが、どういっていたのかしらないけど、僕はそういうのを一切信じませんから」
だいたい、こんなことで結婚を約束させられたらたまったもんじゃない。

実際、僕はつきあっている女の子がいないわけじゃないし。
軽々しく結婚なんて口にするものじゃない。
「元木さん、七話目ももう話さなくていいですから。……さあ、みなさん帰りましょう」

僕はちょっと怒ったようにいった。
元木さんはうつむいて唇をかみしめていた。
そして、彼女の目から大粒の涙がこぼれた。

「わかった。おばあちゃんには、私から話しておくから。坂上君とは結婚できないってことを……」
福沢さんがいった。

「坂上君、早苗ちゃんを泣かせることないでしょ? ひどい人ね。早苗ちゃん、坂上君にかわる人はたくさんいるわよ。ね、だから泣かないで」

「坂上、女の子泣かすのもほどほどにしろよー。じゃ、俺たちは先に帰らしてもらうぜ。」
新堂さんに続き、みんなが帰り支度を始める。

「じゃあねー」
そして、一人一人帰っていく。
部室には、福沢さんと僕と元木さんの三人が残っていた。
福沢さんは、一生懸命彼女の機嫌をとろうとしている。
元木さんは、相変わらず泣いていた。

やっぱり、女の子に泣かれるのは辛い。
「うっく……ひっく、ねえ、玲子ちゃん。私たちを二人にしてくれるかな。えっく……」
元木さんが泣きながらいった。
「いいわよ。二人で気の済むまで話し合うといいわ」
「ちょっと、あっ……」

僕は彼女を引き止めようとしたが僕が声をかける前に、さっさと部室から出ていってしまった。
元木さんはもう泣きやんでいるが、さっきから引きずっている、この気まずい空気は変わらない。

「……私もう、結婚できないんだね」
彼女は、潤んだ目で僕を見つめた。
僕はこういうのに弱いんだ。
「いいわ、私、結婚できなくてもかまわない。
あなたのことはわすれるように努力する。だけどね……、私の最後のお願い聞いてくれないかな?」

彼女は、僕の目をまっすぐ見つめていった。
僕の目を射抜くようにまっすぐに……。
彼女のお願いを聞くべきだろうか。
1.うん
2.聞けないよ