学校であった怖い話
>七話目(風間・岩下)
>X3

「すいません。もう少しだけでもいいですから、ここにいていただけませんか?」
「理由は?」
新堂さんだった。

「理由は何なんだよ。七人目は来ない。俺たちの話は終わった。もう、用はないはずだ。それなのに、何で残ってなくちゃいけないんだ?
理由を教えてくれよ」
新堂さんも、いささかムッとしているようだ。

「……理由は、ありません。ただ、変な胸騒ぎがするんです。なぜか、ここに残っていなくちゃならないような……」

「話にならないよ、君。僕はね、君と違って忙しい身なんだから。帰らしてもらうよ」
新堂さんの代わりに、風間さんが口を挟んだ。
確かに、風間さんのいう通りだ。
明確な理由もなく、僕の胸騒ぎだけで、みんなを引き止めるわけにはいかない。

「じゃあな。あばよ」
新堂さんが席を立ち上がった。
「……ごめんね、坂上君。私も帰るから」
そして、福沢さんも。
それに続いて風間さんと岩下さんも席を立った。

細田さんと荒井さんだけが、席に座ったまま、僕を見ていた。
この二人は、僕と同じ胸騒ぎを感じているのだろうか?

「じゃあな」
新堂さんは、もう一度そういうと、部室のドアを開けた。
「わっ!」
突然、新堂さんが飛び上がった。
ドアの前には、一人の女の子が立っていた。

「……なんだよ、お前」
新堂さんが、彼女のことをなめるように見た。
「早苗ちゃん!」
ドアの前で通路をふさぐようにして立つ彼女の姿を見るや、新堂さんの後ろから、福沢さんが顔を覗かせた。

……早苗ちゃん?
早苗ちゃんて確か……。
1.早苗ちゃんのことを覚えている
2.早苗ちゃんて誰だ?