学校であった怖い話
>隠しシナリオ2(田口真由美)
>U3
えい、行っちゃえ。
あの人、すごく変わっているけど……。
珍しい話を、いっぱい知ってるみたいなんだもん。
実は、ちょっと興味があるの。
昔うちの学校には、トイレにいかない男の子がいたんだって。
坂上先輩は、どうやらその人の秘密を知っているらしいのよ。
教えてほしいなあ。
ロマンチックな女の子って、そういう生活をしてみたいものなの。
なんてね。
実は、ただの好奇心。
すごい大事な話なんていってもさ。
坂上先輩のことだから、きっと大ボケをかますに違いないわ。
後でいいふらして笑っちゃおっと。
それにさ、私、噂を聞いたのよ。
坂上先輩ってさ、年上の女と付き合ってたって。
相手はこの学校の生徒でさ。
名前は……岩……岩下とかなんとか。
岩下ぶきみだったかしら。
いや……ぶけみだったかな。
……まあいいや。
坂上先輩って、その人と付き合って、殺されそうになったらしいの。
なんでも、すごく嫉妬ぶかい人だったみたい。
私、そのことを記事にしたいって、前に坂上先輩にいったのよね。
今日呼ばれたのは、その話かしら。
だったら、面白いのに。
期待しちゃうなあ……。
うふふ。
……さあ、部室についたわ。
「先輩!!」
「う、うわあっ!!」
「きゃ……」
先輩、椅子から転げ落ちちゃった。
私の大声で驚いたのね。
なんだか、なさけないなあ。
やっぱり変な人。
「あ、ごめんなさい……」
私、いちおう謝ったわ。
内心、おかしくてたまらなかったけど。
「もう、おどろいたなあ。
デベロンダッタ星人の逆襲かと思ったよ」
…………。
この人、やっぱり変だわ。
「あの、坂上先輩、話ってなんですか」
早く聞いてバイバイしよう。
「ああ、ごめん。実はね……
もうすぐ、第二体育館が完成するのは知ってるだろ?
それを記念して、学校の七不思議の特集をしたいんだよ」
「え、学校の七不思議ですか?」
「そう。第二体育館を建てている土地には、昔旧校舎があったんだけどね。
それは、今から二年前の夏に取り壊されたんだ。
旧校舎は、すごく霊現象が多い所だったんだよ……」
あ、あれ……?
坂上先輩の目、なんだか金色に光ってるみたい……。
まさかね。
「坂上先輩、あの……」
……田口さん、黙って聞いてくれ。
旧校舎を取り壊した時は、大騒ぎがおこってね。
テレビ局から取材もきたんだよ。
君、聞いたことない?
旧校舎の取り壊し跡から、大量の白骨が出たって話。
それで、あの下には防空壕があったとか、戦死者の死体がたくさん埋まっていたとか……いろんな噂がたってたな。
それから、こんな話もある。
旧校舎の取り壊し中は、事故がたくさん起きてしまってね。
白骨死体の呪いだとかいって、かなり大がかりなお祓いをしたんだよ。
その頃僕は、学校の七不思議について、記事を書くことになっていてさ。
当時、僕の先輩の日野さんという人に、学校の七不思議に詳しい人達を集めてもらったんだよ。
いろいろ話を聞くうちに、僕もこの学校にまつわる怖い話をたくさん知った。
けど、その企画は結局『旧校舎から出てきた大量の白骨死体の謎!』というものに変わってしまったんだ。
まあ、仕方ないよね。
単なる噂話よりも、現実に起こった出来事のほうがインパクト強いしね。
君も覚えてるんじゃないか?
あの事件は、警察も来たし、新聞にも載ったからね。
その時の校内新聞の記事は、僕が担当したんだけどさ。
すごく評判がよかったよ。
けど、僕は残念でね。
あの企画はボツになってしまったからね。
もともとは、僕の企画じゃないのにさ。
部長の考えた企画なのにね。
なぜか、すごく残念だった。
不思議なもんさ。
僕は、あの企画を押しつけられたとき、すごくいやな気持ちだった。
できることなら、やりたくなかったんだ。
それほど、怖い話が嫌いだったわけさ。
なのに、今はどうだ。
自分から進んでやりたくて、たまらなくなっている。
それで、僕は考えたんだよ。
あの旧校舎の跡地に第二体育館が建った時、今度こそ、この企画を実現させようとね。
そこで、どうだろう?
君にその大役を任せたいんだ。
どうかな?
やってくれるかい?
1.やります
2.カンベンしてください