学校であった怖い話
>隠しシナリオ1(坂上修一)
>A1

やはりあれは、夢だったのかもしれない。
僕が、新聞部の日野先輩から頼まれて行った集まり。
集まった六人は一つ話をするごとに消えていった。
そして六人全員が消えたとき、現れた仮面の少女。

彼女は、六人が死んだことを匂わせ、そして僕の前から消えていった……。
あれから、まだ僕の夢は覚めていない。
そして、夢が覚めないまま、今、僕は現実を生きている。

どこで、どう道を踏み外してしまったのか、今、僕のいる世界は、どこかが違う。
僕は、あの日六人が消えてから、旧校舎の前でただぼんやりしていた。

朝日が完全に顔を見せて、鳥のさえずりが聞こえると、ちらほらと人の姿が見え始めた。
そして、いつもと変わらない日常が始まったのだ。
僕は坂上修一という人間だった。
そして、この学校の一年生だった。

そして、僕は新聞部に在籍していて、日野先輩もそこにいた。
そして、僕は今いる自分の世界が現実であることを確認したのだ。
でも、ただ一つ違っていた。
一つだけ、僕の知っている現実と違っていたのだ。

それは、新聞部で七不思議の特集をするという企画など、最初からなかったということ。
当然、僕がその話をすると、日野さんは怪訝そうな顔で首を傾げた。

岩下明美。
風間望。
新堂誠。
細田友晴。
荒井昭二。
福沢玲子。
彼らの名前を、日野さんは誰一人として知らなかった。

僕は、学校の名簿で確かめた。
けれど、そんな名前の生徒は一人もいなかった。
見落としているんじゃないかと、僕は何度も何度も確かめた。
けれど、それは無駄な努力に終わった。

彼らは、存在しなかったのだ。
この学校にいるはずの生徒たちじゃなかったのだ。
……では、僕が見たものは何だったのか?
あの集まりは、そもそも何だったのか?

僕は、白昼夢を見てしまったのか。
とてもリアルな夢を。
いや、あれは夢ではない。
彼ら六人は、間違いなくそこに存在し、笑い、息づいていた。
僕は、今でも彼らの顔を、笑い声をそして一人一人の匂いを判別できるほど、はっきりと覚えている。

わずか短時間の間に、出会い、一瞬のときを過ごした僕ら七人。
彼らは、いる。
僕は、そう確信しながらも、胸につかえた何かを取れぬままいつもと変わらぬ日常を送っている。
……そして今日、あの旧校舎が取り壊される。

一学期は終わり、もう夏休みになっていた。
どうする?
学校に行ってみるか?
そして、あの旧校舎が取り壊されるところを見てみるか?
1.学校に行ってみる
2.学校には行かない