晦−つきこもり
>一話目(真田泰明)
>B3

ははっ、素直だな、葉子ちゃんは。
でも、もしそうなっても俺が一緒だったら、おぶってやるからな、ははっ。
えっ、もちろん死ぬときは一緒だよ。
まあ、そのときは重たい葉子ちゃんはいなかったから、生き延びられたんだけどね。

ははははっ、ごめん、ごめん。
これ以上いうと、葉子ちゃんに嫌われちゃうから話を戻そうか、ははっ。
俺は必死に逃げたよ。
階段についた。
うしろの廊下の空気が青白く光りだしている。
俺達は急いで階段を下りた。

脚がもつれ、バランスが崩れそうになる。
(足を止めたら終わりだ………)
そう思い、必死に転ぶのをこらえた。
背中にはまだ光を感じる。
俺は急き立てられるように走り続けるしかなかった。

光は俺達との間に距離を置き、まるで弄んでいるような気さえする。
そして俺達はビルの外に出たんだ。
(まだ、追ってくるのか………)
俺は振り返るとビルの入り口を見た。
入り口は徐々に明るくなっている。
奴が近づいているんだ。

「片山、早くしろ!」
俺は遅れている片山にそう叫んだ。
光は彼の背後まで迫っている。
それからまもなく彼に光が追い付いた。
光は片山の体を覆う。
すると彼の体はミイラのように干からびていったんだ。

(何なんだ……………)
俺は走った、もう片山を気にしている余裕はなかった。
光は片山を覆うと移動を止めた。
チャンスだった。

でもこんなとき葉子ちゃんだったらどうする。
片山を助けに行くかい?
1.助けに行く
2.見捨てる