晦−つきこもり
>二話目(真田泰明)
>A7

そう、撮影は続行したんだ。
そして無事終了した。
しかし、クランクアップした日の夜、ホテルの片桐の部屋に、坂田が訪ねてきたんだ。
片桐がドアを開けると、そこには坂田がいた。
坂田はニコッと笑うと、ゆっくり部屋の中に入ってきたんだ。

もう片桐は、正気を失いかけていた。
片桐は部屋に入る坂田にまったく抵抗しなかったんだ。
坂田はコーヒーを入れた。
そして片桐は出されるままに、坂田の入れたコーヒーを飲んだんだ。
その様子はまるでドラマのラストシーンそっくりだった。

片桐は意識が遠くなるのを感じながらも、何も抵抗する気が起きなかった。
翌日、ホテルをチェックアウトしに現れない片桐と坂田を心配したスタッフが部屋に行くと、片桐は死んでいた。
警察や救急車が呼ばれ、ホテルは大騒ぎになった。

坂田の部屋も調べられたんだけど、彼はいなくなっていたんだ。
部屋には、坂田が泊まっていたような形跡はなかったんだよ。
そして坂田は、その日から行方不明になったんだ。
ただ、片桐の部屋には一冊の不可解な日記が残っていた。
そこには今俺が話したことが、書かれていたんだ。

そう、コーヒーを飲み命尽きるまで……。
これって、どう思う?
1.日記を書いた後、自殺したんだと思う
2.坂田の偽装工作では
3.本当に、それ日記なのかな