晦−つきこもり
>二話目(山崎哲夫)
>A6

やさしいなぁ、葉子ちゃんは。
自分かい? 自分らももちろん追いかけていったさ。
知らない人じゃないんだしな。
放っておくことなんてできやしないさ。
風間を追いかけながら、風間を呼んだんだ。

でも、風間は情けない悲鳴を上げるばかりで、逃げて行くばかりだった。
そして、しきりに狸が追いかけてくると叫んでいるんだよ。
どうやら、風間には、自分らが狸に見えるらしい。
もうすぐ追いつきそうになったときだ。

なんと、猟銃を持った数人の男が、風間の前に現れたんだよ。
「た、助けて!
人間の言葉をしゃべる狸が、僕を追いかけて来るっ!!」
風間は、そんなことを男達にいうんだよ。
すると、その男達は、自分らを見て猟銃を構えたんだ!

じょ、冗談じゃない!!
声を出す暇もなかった。
自分らは、あわてて木の陰に隠れたんだ。
男達が自分らを捜す声が聞こえる。
「な、なんだよ、あいつら!」
「頭おかしいんじゃないのか!?」

仲間のみんなが、青い顔をして、そういった。
自分だって、こんなところで死にたくはない。
自分らはどうしたと思う?
1.自分達は、人間だといった
2.黙って逃げた
3.腹鼓を打った