晦−つきこもり
>二話目(山崎哲夫)
>S9
葉子ちゃん、そんなことをしたら、警察に捕まっちゃうよ!
逃げなくても、同じだけどな。
でも、葉子ちゃんのいうこともわかる。
自分も、その時は逃げ出したかったもんな。
でも、罪の意識にさいなまれてな。
逃げ出したくても、逃げ出すことができなかったんだ。
しかし、次の瞬間には、そんなことなんか、どうでもよくなるようなことが起きた。
何だったと思う?
いきなりな、風間が立ち上がったんだよ!
そのねじれた首からは、電気のコードのようなものが飛び出していてな。
そこからは、火花が散っていたんだ!
そう、彼は、人間じゃなかったんだよ!
「……ガガガッ……ヨウコソ……ヨガ…ガ…ヨクキタ……ネネネネ……ガガッ……」
その声は、まるで映画に出てくるロボットのような、変な声だった!
そして……。
突然、風間は爆発してしまったんだ!
幸い、けがをした奴はいなかったよ。
「おい、今のはなんなんだ!」
いらだった声で、仲間が叫んだ。
「……ロボット?」
誰かが、そういった時だ!
旅館の奥の方から、何か物音がしたんだ。
誰かが、こっちに歩いて来る!
自分らは、焦ったよ。
爆発したとはいえ、そこに倒れているのが、風間だってことは、一目瞭然だったんだ。
腹の辺りに大きな穴があいただけだったからな。
その足音は、だんだんと玄関に向かって近づいてくるんだ。
どうしよう! どうしたらいい!?
足音が近づいて来るにつれ、何か変なにおいがしてきた。
鼻をつく、とても嫌なにおいだ。
魚と卵が、一緒に腐っているような、強烈なにおい。
でも、今はそれどころじゃない!
早く、早く逃げなければ!!
そう思ったときだ。
誰かが、みんなに向かって、叫んだんだ。
なんて叫んだと思う?
1.逃げろ!
2.風間の死体を隠すんだ!