晦−つきこもり
>二話目(鈴木由香里)
>K7

そんなに脅えなくたっていいのに。
誰だって、一度は体験してるもんだって。
それは、私だって同じ……。

ただし、かっちゃんの場合はちょっと違ってたんだ。
かっちゃんは三才にして、命を奪う罪を、快楽として感じてたのさ。
手の中の生き物……。
自分よりも、か弱い命を奪う瞬間の、かっちゃんの目は、実に生き生きと輝いてたよ。

……ある日、その屋敷で飼っていたインコが死んじゃったんだ。
田舎の一軒家だから、野良猫やイタチに襲われることだってあるだろうね。

誰もが、そう信じきってて、これっぽっちも疑わなかった。
でも、私は見てたんだ。
かっちゃんが、インコを絞め殺すのを。
インコは抵抗することもなく、すぐにぐったりとなったよ。
鳴き声一つ、あげることなくね。

かっちゃんは、手の中でだんだんと冷たくなっていく小鳥を、ぞっとするような微笑みを浮かべて見てた。
やがて、小鳥の首がくたっとなって、かっちゃんは、やっと、締めつけていた手を緩めたよ。
もう、息なんて、してるはずもなかった。

かっちゃんは、その屍骸をどうしたと思う?
1.親に見せた
2.山に埋めた