晦−つきこもり
>二話目(藤村正美)
>H7

葉子ちゃんは、我慢強いんですのね。
偉いですわ。
私ならきっと、耐えられませんもの。
吉村先生も限界だったんですの。

思い詰めて、飛び出そうとしました。
思いとどまったのは、逃げ切れる自信がなかったから。
足はもう、数十センチのところまで近づいてきています。
手を伸ばせば、届く距離です。

もう駄目だ!!
目の前に迫った足に、悲鳴をあげかけた瞬間。
スッと足が消えたのです。
助かったんだとわかるまで、何秒か、かかりました。
それから、体がガタガタ震えて止まらなくなったそうです。

吉村先生が、ナースステーションに駆け込んできたときには、何事かと思いましたわ。
だけど……こんな話、少しできすぎという感じもしますわよね。
葉子ちゃんは、信じられるかしら?
1.信じる
2.信じない