晦−つきこもり
>二話目(前田良夫)
>N5

そうだよな、それが人間ってもんだぜ。
葉子ネエも、なかなかわかってんじゃん。
俺はあきらめなかったよ。
どうしても、中を見たくなったんだ。
それで、指の爪でこすってみたんだよ。

接着剤でも使ってあるのか、ピッタリくっついてたな。
でも、頑張ってるうちに、端っこが少し破れたんだ。
破れ目から、パリパリと放電する火花が見えた。
一瞬だったけど、しびれる感じもあったような気がするな。

これは、普通の紙テープなんかじゃないらしい。
俺は急に怖くなったよ。
だから、そのまま放って帰ることにしたんだ。
気持ち悪いからな。
もちろん、誰にもいわなかったぜ。

ビビッたといわれるのも嫌だったし、遊びで話すようなことじゃないような気もしたしさ。
だけど、ムード的には満点だよな。
あのほこらにさえ触らなければ、肝試しにちょうどいいコースだよね。

そして、とうとう最後の夜が来たんだ。
俺たちは集まって、何をやるか決めることにした。

いろいろ出たけど、最後は二つにしぼられてさ。
暗い部屋で怪談するか、外に出て肝試しするか……。
結局二組に分かれて、好きな方をやろうってことになったんだ。
俺、悩んじゃったな。
どっちも面白そうじゃん。

葉子ネエだったら、どっちを選ぶ?
1.肝試し
2.怪談