晦−つきこもり
>二話目(前田良夫)
>R2

へえ、ないんだ。
面白いのになあ。
葉子ネエが小学生の頃なんて、大昔だからなあ。
オリエンテーリングなんて、まだ発明されてなかったんじゃないの?
まあ、とにかく、肝試しの下見にはちょうどいいよな。

森コースと湖コース、どっちに行くか迷ったけどさ。
森の、昼間でも薄暗くて、いかにも何か出そうな感じが気に入ったんだよな。
俺、森コースを選んだんだ。
何となく、面白そうじゃん。
中に入ってみると、ますます不気味な感じなんだ。

なんていうか……誰かに見られているような感じ?
本当に誰かがいるっていうんじゃないぜ。
何となく、人間っぽくないんだよな。
森が、『森』っていう生き物になったみたいなさ。

わかるかなあ。
変だけど、本当にそんな感じだったんだってば。
ここはやばい……。
真剣に、そう思ったもんね。

ここで何が起きても、不思議はないっていうかさ。
俺はスタンプを押してもらうと、急いで森を飛び出した。
こんな場所、一分だっていたくなかったんだ。

それから何日かは、何もなかった。
つまんないから、カットしとくよ。
そして、とうとう最後の夜が来たんだ。
俺たちは集まって、何をやるか決めることにした。

いろいろ出たけど、最後は二つにしぼられてさ。
暗い部屋で怪談するか、外に出て肝試しするか……。
結局二組に分かれて、好きな方をやろうってことになったんだ。
俺、悩んじゃったな。
どっちも面白そうじゃん。

葉子ネエだったら、どっちを選ぶ?
1.肝試し
2.怪談