晦−つきこもり
>三話目(山崎哲夫)
>A3

いやぁー、葉子ちゃんとは話が合うなぁ。
そうだ、今度つれていってあげるよ、沢登り。
大丈夫、葉子ちゃんが考えているより簡単だから。
それに、そんなに大変なところにはいかないからさ。

な、いいだろ?
がっはっはっはっは。
いやぁ、楽しみができたよ。
今度の夏休みに行こうな、葉子ちゃん。

で、続きなんだがな。
自分らは、自然を慈しみながらゆっくりと登っていったよ。
一日目が過ぎ、二日目が過ぎ……。
そして、とうとう三日目、最後のキャンプとなった。
自分らは、比較的小さな石が敷き詰められた、河原のようなところでキャンプすることにしたんだ。

沢の流れは、細く、緩やかになっていてな。
そこから聞こえるせせらぎは、疲れた心身をリフレッシュしてくれた。
周りには木々が生い茂っていてな、太陽の光を反射してとてもきれいだったよ。

自分らはそこにテントを張って、最後の夜を迎えたんだ。
その日は最後ということで、たき火を囲んでビールを片手に楽しく語り合ってな。
話し込んでいたら、それまでの疲れも手伝って心地よい睡魔が襲ってきたんだ。

自分らは、早速テントに入り、眠りについたんだよ。
………………………………。
(今、何時なんだろう……)
自分はテントに入ると、すぐに眠ってしまったんだがな。
途中で目が覚めてしまったんだ。

それからは、なかなか寝付けなかったよ。
外からは、せせらぎの音が聞こえる。
その音を聞いていれば、眠ることができるだろう……。
そう思った自分は、せせらぎの音に神経を集中したんだ。

ん? 人の声がするぞ……。
せせらぎの音に混じってな、なんだか人の声がするような気がしたんだよ。
やっぱり、誰かいるな……。
自分らは、二張りのテントを張って分かれて寝ていたからな。
もう一つのテントの奴らかと思ったんだ。

自分は、藤澤という奴と二人で寝ていた。
もう一つのテントには、残りの三人が寝ていたからな。
そいつらも寝付けなくて、外にでも出たんだろうって思ったんだ。

自分も外で、話に参加してみるか。
そう思ったんだけどな。
話をすると、よけいに目が覚めそうな気がしてな。
どうしようかと思ったんだ。
葉子ちゃんなら、どうする?
1.外にでてみる
2.外をのぞいてみる
3.黙って寝る