晦−つきこもり
>三話目(前田良夫)
>C5

そうだよな。
安くはないけど、買えなくもない。
買っちゃおうかとも思ったけどさ。
……もったいないよなあ。
やっぱり、やめとこう。
カブト虫が欲しければ、自分で山に行って捕まえればいいんだ。
だけど、オヤジもオヤジだよな。

都会に住んでる、虫もつかめないような奴らになら、売れるかもしれないよ。
でも、俺たちにカブト虫を売ろうなんて、何を考えてるんだっつーの。
本当に変な奴だぜ。
俺は断った。

「そうかい。残念だなあ」
そのときは、それで終わったんだ。
またしばらくして、いつもの場所にオヤジが現れた。
知らん顔して通り過ぎようとする俺を、わざわざ呼び止めるんだぜ。

「幸運を呼ぶ人形は、いらないかい?」
人形か……。
それなら、聞いたことがあったな。
俺は何気なく、人形を覗き込んだんだ。
……そこには、オヤジそっくりの顔の人形が並んでた。

大きさは二十センチくらい。
それがまた、よく似てんだよ。
笑っちゃうくらいにさ。
「どうだい、効き目がありそうだろ」
オヤジは嬉しそうにいうんだ。

でも……オヤジそっくりの人形だぜ。
効き目、あると思う?
1.ありそう
2.ないと思う


◆最初の選択肢で「1.おかしくはない」を、2番目の選択肢で「2.思わない」を、3番目の選択肢で「1.別にむかつかない」を選んでいる場合
◆最初の選択肢で「2.やっぱり変だ」を、2番目の選択肢で「1.別にむかつかない」を選んでいる場合
2.ないと思う