晦−つきこもり
>三話目(前田良夫)
>C6

俺も、そう思った。
だから、正直にいったんだ。
「悪いけど……あんまり効き目があるようには見えないな」
オヤジは、急に真顔に戻ったよ。
「そうか……」
怒られるかと思った。

でも、オヤジは声を潜めて、変なことをいいだしたんだよ。
「どうやら君には、特別な力があるようだな。よし、しょうがない。
スペシャルアイテムを見せてあげよう」
腹巻きの中に手を突っ込んで、何かを取り出した。

丸くて、ちょうど手のひらに乗るくらいの……卵だ。
「これを、君にあげよう。正真正銘、本物の、幸運を呼ぶアイテムだよ。君になら、タダで譲ってあげる」
オヤジは今までと違って、まわりを気にしてるみたいだ。

まさかとは思うけど、これって本物かもしれないよな。
1.そうかもしれない
2.絶対にあり得ない