晦−つきこもり
>五話目(前田和子)
>A9

「あっ……!!」
私は遠くを指差し、みんなの目をあさっての方向に向けた。
よし、みんなが向こうを見ているうちに……!
「ウッキッキー、ウッキッキー!」
鼻をつまんで腕を振り上げ、サルのマネをした。

ちょっと恥ずかしいけど、除霊にはかえられない。
どうかしら。
これで、風間さんの生霊は帰ってくれるかしら。
(……君、君、そんなマネはやめたまえ。かわいい顔がだいなしだよ。

ところで君、わたしを帰らせたいのかい?
ちっちっち、そんなのダメさ。わたしは、みんなのアイドルなんだよ。いうなれば、選ばれた人間だ。
そんなわたしを呼び出して、すぐ帰らせようなんていけないことだよ)

「い、嫌ああっ!!」
サルのマネまでしたのに、帰ってくれないっ!!
ひどい、和子おばさんたら。
ウソ教えるなんて。
あっ、それとも……。
サルのマネの仕方が、甘かったのかしら。

それなら……!!
私は、ごくりと唾を飲み込んだ。
1.もっと激しくサルマネする
2.やっぱりできない