晦−つきこもり
>五話目(前田和子)
>K13

「いやあー、なんといったらいいんでしょう。風間さんは、社交ダンスよりモダンバレエの方が好きみたいですね」
私は、とりあえずそんなことをいってみた。
「ふんふん、それから?」
和子おばさんは、真剣に聞いている。

「えーと、それからですね。風間さんは、おならに火をつけようとして、失敗した経験があるとのことです」
「ふんふん、それで?」
「後は……、風間さんのプライベート・タイムについて話しましょうか。彼は、音楽をたしなんでいるようです。得意なのはカスタネットみたいです」

「そう。……葉子ちゃん、それ、ウソじゃないわよね。もしウソだったら、許せないわよ」
「…………」
こ、怖い。
あんまり変なことはいえないわ。
「……もういいわ、質問を変える。
風間さんは、私とのダンスをどう思っているのかしら? ちょっと、それを聞いてみてよ」

「……はい」
風間さん、風間さん、教えてください。
和子おばさんとのダンスを、どう思っていますか?

(……和子。君と一緒のダンスは最高さ。君のように素敵な女性と一緒にいたら、楽しいに決まっているだろう?
それは、事実。永遠の事実なんだよ。と、いうわけで。明日の朝ごはんはハンバーグがいいな)

「ねえ、葉子ちゃん。彼はなんていってるの?」
……和子おばさん。
本当に、こんな人が素敵なの?
何かの間違いで、どこかの低級霊でも降ろしたんじゃないの?

この人、本当に訳わかんないんだけど。
もう、ヤケだわ。
どうしよう?
1.踊りながら神託
2.奇声をあげて退室
3.風間の言葉を伝言