晦−つきこもり
>五話目(前田良夫)
>AB2

バカっていうなよな。
バカっていうヤツが、バカなんだぞ。
そういって、良夫はふくれてしまった。
ああもう、本当に子供なんだから。
……ん?
良夫が、何かブツブツいってるわ。

「むかつくよなあ、葉子ネエって。そういう性格のヤツって、オバケ販売機に食われちゃうんだからな」
……オバケ販売機?
何よ、それ。
オバケを売ってるわけ?
私は、興味がありそうな顔をしてしまったらしい。
良夫がニッと笑った。

ああ、ほら。
やっぱ、俺の話が聞きたいんじゃん。
素直じゃないんだからなあ。
まあ、しょうがないから話してやろう。
俺ってオトナだよな。
……オバケ販売機は、学校行く途中の、通学路にあるんだ。

何のロゴも入ってなくてさ、変な自動販売機なんだよな。
金入れると、見たこともないジュースが出て来るらしいんだ。
だから俺たち、オバケ販売機って呼んでるんだよ。
そこでジュース買おうとして、もしもドクロマークのついた缶が出てくると、呪われて死んじゃうんだって。

そんなのゴメンだっつーの、なあ。
なのに、わざわざ試そうとしたバカがいるんだよ。
成田って五年の男子で、友達の友達だから、俺の知り合いじゃないんだけどさ。
そいつが、オバケ販売機の謎を、調べようとしたんだって。

いつ、どのボタンを押したら、ドクロの缶が出てくるか、わかんないのにさ。
それで、百円玉と十円玉をたくさん用意して、オバケ販売機に行ったっていうんだ。
それでさ、早速、金入れてみたんだって。
オバケ販売機って、ボタンが三つ並んでるんだよな。

成田は、どのボタンを押したと思う?
1.一番右
2.真ん中
3.一番左

※実際の分岐先は3つで、ランダムになっている