晦−つきこもり
>六話目(真田泰明)
>4B1

◆最初の選択肢で「1.うん」を、2番目の選択肢で「2.最高傑作」を選んでいる場合

探索した総ての部屋を探したが、鍵は見あたらなかった。
「泰明君、今までのことを考えると、玄関の鍵が無くなったのは偶然とは思えない」
花田さんは険しい顔をして、そういった。
みんなも同様に思っているのか、口を閉ざし何も語ろうとはしなかった。

「泰明君、俺はこの屋敷を見回って、思ったことがあるんだ」
彼は何か思い詰めた顔をしている。
「なんか尾岳冬良の小説の屋敷の内部が、こことまったく同じような気がするんだ………」
みんなが花田さんを注目する。
俺は思い出していた。
いわれて見れば、その通りだ。

「彼はあの作品を境に作風が変わったんだ………。しかも俺はシナリオを書くとき調べたんだが、彼の出身地がこの近くなんだ。
俺は初め、そういう意図をもって、泰明君はこの場所を選んだと思っていた。しかし違うようだね………」
花田さんは俺の顔を見た。

「し、知りませんでした………」
初めて知る事実だった。
俺は当惑して、河口君の方を見る。
「河口君は、どうやってこの屋敷を知っていたんだい」
河口君は俺の顔を見た。

「このドラマの出演が決まったあとに、役作りの為の資料を集めているとき、偶然知ったんですよ。
まさか、尾岳冬良の出身地だなんて、全然知りませんでした………」
そういって彼は困った顔をする。

(尾岳冬良か………、彼の霊か、何かが導いたってことか………)
俺はそんな現実離れした、想像をする。
しかし今までの出来事を考えると、その考えを否定することはできなかった。
(いったいどういうことなんだ………)

俺が黙ってそんなことを考えていると花田さんが突然、言葉を放った。
「あの小説の舞台になったあの屋敷には、抜け穴があったよな」
花田さんはポツリという。
(そうだ、確かにあの小説には抜け穴があった………)
俺は花田さんの顔を見た。

「あれは確か………」
河口君も思い出したようだ。
「確か、食堂の暖炉、使用人の部屋の床………」
彼はそういい終わると、俺の顔見て笑った。
「そうだ!」
俺も思わずそう叫んだ。

「でも、その抜け穴に化け物なんて出ないでしょうね」
吉川は不安そうに呟く。
「でもこのままわけも分からず、恐怖に震えているよりましだろ」
河口君が吉川にそういい放つ。
吉川は河口君の気迫に押され、もう反対をする様子はない。

「じゃあ、使用人の方の抜け穴を探してみよう」
河口君がそういってホールの中央の扉を目指して歩いていった。
みんなもそのあとに続く。

「使用人の部屋は3つありましたが、どの部屋か覚えてますか」
俺は歩きながら、花田さんに聞いた。
「原作では、その辺ははっきり書いてなかったんだ」
彼は不安そうな表情でそう囁く。

そして俺達は扉を開け、中に入った。

1.左の手前の部屋
2.左の奥の部屋
3.右の手前の部屋

※1〜2の選択肢は一度選択すると消え、番号が繰り上がる