晦−つきこもり
>六話目(山崎哲夫)
>K9

やっぱりそうか!!
自分もそうしたよ。
だって、一番痛くなさそうじゃないか。
大釜なら釜ゆで。
刃物と台座なら干し首って運命が想像できるだろう。
血が入った器なら、そんなに怖いことはないだろうと思ったんだよ。

でも、それが間違いだったんだ。
ンバンバ族は、いきなりその血を自分に飲ませたんだよ。
世界には、動物の血を食料としているところがあるからね。
自分はそういう所で、ヒツジの血なんかをよく飲んでいたから、そういうのは平気だったはずなんだが……。
あれだけは我慢できなかった。

血に何かを混ぜているような……すごく臭いにおいがしたんだよ。
自分はいっぺんでむせた。
そして、飲まされた血を床に吐き出したんだ。
……吐いた血の中から、肉片のようなどろどろしたものが見えた。
何かの脳味噌のような形をしていたな。

ンバンバ族は、それを見るとニヤリと満足そうな笑みを浮かべた。
どうやら、清めの儀式だったらしい。
ンバンバ族は、次は何がいいかという身振りをしたんだ。

もう、まいってしまったよ。
血の器の儀式だけじゃ、済まなかったんだから。
それで自分は、何を選んだと思う?
1.ぐらぐら煮える大釜
2.長い刃物と台座