晦−つきこもり
＞六話目（鈴木由香里）
＞U9

「きっと、正美おばさんに……」
……っていいかけて、私は慌てて口を閉じた。
なんだか、正美おばさんが怖い顔をしてたから……。
「どうしたの？　葉子ったら急に黙っちゃって」
由香里姉さんが、私の顔を覗きこむようにして尋ねる。

「ううん。何でもないの……」
「そう？　じゃ、話を続けるね。
本当に奇妙奇天烈だったのはこの後なんだから……」

まぁ、どんなパーティーでも全員が席に着いたら、簡単な挨拶があって『乾杯！』になるよね。
この時はね、乾杯が無事終了すると、風間家の親族紹介が始まったんだ。
新郎の父がいて……。
新郎の祖父がいて……。
新郎の曽祖父がいて……。

……とまぁ、このくらいまでなら全然普通じゃん？
ところがさ、この後、曽祖父の父親、その父親、その父親の父親…………って感じで、何十代も前の御先祖様まで延々続くんだよ。
親族の紹介っていうよりは、家系図を実際に見せられてるような気分だった。

ここまでくると、タチの悪い冗談としか思えないよね。
もしこれが事実なら、その人たちって、いったい何才になってるっていうのよ。
ねぇ？
１．本当にタチの悪い冗談ね！
２．すごーい世界記録ね！