晦−つきこもり
>六話目(藤村正美)
>B4

そうですか。
赤の他人のことなんて、どうでもいいというんですわね。
心の広い意見のように聞こえますけれど、違いますわ。
あなたは、自分に関係なければ、誰の身に何が起ころうが構わないのでしょう。
…………あら、うふふ。

そんな顔をして、私が怒ったと思っているのかしら?
私はただ、確認しただけですわ。
あなたが、緒田さんと同じ種類の人間だということを。
自分が今した選択を、よく覚えていることですわ。
……さて、緒田さんの話でしたわね。

彼女は、やはり疲れていたのでしょう。
ベッドに寝転がると、あっという間に眠り込んでしまったのです。
けれど、しばらくすると、彼女は何かを感じました。
眠くて、目が開きません。
それなのに、誰かがのぞき込んでいるのがわかるのです。

「タスケテ……タスケテ……」
その誰かは、確かに『助けて』といっていました。
こんなとき、葉子ちゃんだったらどうします?
……ああ、愚問でしたわね。

葉子ちゃんは、もちろん、そんな声など無視するんですものね。
1.もちろん、その通り
2.そんなことない