晦−つきこもり
>六話目(前田良夫)
>G5

そうだろ!?
戸波も、もちろんそう考えたんだ。
茶髪の男を殺した犯人なら、見ておかなきゃ。
ムジツのツミを着せられるなんて、まっぴらだもんな。
戸波は息を詰めて、そっと振り向いた。

すぐ前に、血走った目を、こぼれそうに見開いた男がいた!
まぶたのない、テニスボールくらいの両目が、ギョロッと戸波を見てる。
食いしばった歯は、サメみたいに尖ってて、間から生臭い息がもれてた。
……戸波は、悲鳴をあげて、気を失っちゃったんだって。

次の日の朝になって、戸波が死んでるのが見つかったんだ。
茶髪の男と一緒にさ。

その話を聞いてから、うちの学校のヤツは誰も、駅前公園のトイレには入んなくなったんだよ。
そいつに会っちゃったら、やだもん。
だけど……鏡に映らないバケモノって、何なんだろうな?

これが、魔の公衆トイレの話だよ。

(→聞いていない話がある場合)
(→全ての話を聞いた場合)
(→全ての話を聞いたが、「6.生きている骸骨」の話の最初の選択肢で「3.百六十センチは、絶対にないわよね」を 選んでいる場合)