晦−つきこもり
>六話目(前田良夫)
>AA3

そう、ダストシュートのとこだったんだ。
そんなとこに出る幽霊なんて、あんまり聞かないじゃん。
だけど、いるらしいんだな。
姿は見えないんだけど、シクシク泣く声が聞こえるんだって。
俺の友達で、桐生ってヤツがいるんだけどさ。

そいつが、それを確かめに行ったんだよ。
ダストシュートは、四階建ての公民館の、二階と三階、四階にある。
泣き声の幽霊は、その四階にいるんだって。
人の少なくなる夕方頃、桐生はそこに行ってみたんだ。

オレンジ色の陽射しが、窓から廊下に伸びてたって。
コツーン、コツーンって足音が妙に響いてさ、お調子者のあいつも、さすがに気味が悪かったっていってた。
ダストシュートの前まで来ると、深呼吸したんだ。

それから、できるだけ音させないように息まで止めて、耳をすましたんだって。
…………初めは、何が聞こえてくるのか、わからなかった。
だけど。
シクシク……シクシク……。
細々とだけど、確かに泣き声が聞こえたんだ!

それから、ボウッと人影みたいのが現れた。
噂っていい加減だよな。
姿は見えないんじゃなかったのかよ。
それで、その影が桐生を見たんだって。
ヤツは逃げるに逃げられなくて、生つばを飲み込んだ。

そうしたら……人影は、そっとダストシュートを指差すじゃないか。
何か訴えてるみたいだ。
ダストシュートに関係あることなんだろうか。

葉子ネエだったら、どう判断する?
1.とりあえず、ダストシュートの中を調べてみよう
2.ううん、中じゃないと思うわ