晦−つきこもり
>六話目(前田良夫)
>AA4

桐生と同じだな。
あいつも、ダストシュートを開けて、中をのぞき込んだんだ。
変なにおいのする風が、下から吹き上げてくる。
下の方には、何か見えるのかなあ?
桐生は、もう少し乗り出そうとしたんだ。

その瞬間、ものすごい勢いでダストシュートの扉が閉まった。
バターンと、大きな音が廊下に響いたよ。
桐生は、のぞき込もうとして、手を扉にかけてたんだ。
すごいスピードで、それが閉まっちゃったもんだから……。
ボタボタッと、血といっしょに、何本もの指が床に落ちた。

「ぎゃあああっ!」
桐生は転げまわってる。
「きゃははははっ!」
子供の甲高い笑い声がした。
桐生を置き去りにして、いつの間にか人影は消えてたんだ。
それ以来、ダストシュートは使っちゃいけないことになった。
桐生……?

あいつは、どっか遠くの町に引っ越してっちゃったよ。
公民館の側にいるのが、いやだったんじゃないかなあ。

これが、幽霊の出る公民館の話だよ。

(→聞いていない話がある場合)
(→全ての話を聞いた場合)
(→全ての話を聞いたが、「6.生きている骸骨」の話の最初の選択肢で「3.百六十センチは、絶対にないわよね」を 選んでいる場合)