晦−つきこもり
>七話目(前田和子)
>B11

一気に、石段を駆け下りる。
少しは、暗闇に目が慣れてきていた。
どうにか下りきると、何かに足を引っ掛けられて転んでしまった。
「き……きゃあああっ!!」
さっきつき落とした、人形の首だった。
嫌……!

どうしてこんな目にあわなきゃいけないの?
私は、旧家へ駆け出した。
ひざがズキズキ痛む。
転んで、怪我をしたようだった。
でも、そんなことにかまっていられない。
とにかく、とにかく戻らなきゃ……!

旧家は、すぐに見えてきた。
「助けて!!」
誰か……っ。
一人の時に襲われたら、今度こそ殺される!!
赤い靴の子の霊なんかじゃない。
さっきの影は、生暖かい息をはいてたわ。

あの影、私を追って後ろから来ていたかしら?
影の足音は聞こえていた?
夢中だったから、わからない。
私がこの家に入るのを見られていたら……どうしよう!!
1.あかずの間に行く
2.近くの大広間に駆け込む